2016年11月03日

毎日新聞には感謝してます

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評 価:【竹】
書 名:『毎日かあさん 背脂編』
著 者:西原理恵子
発 行:毎日新聞社
発掘地:不明
発掘日:不明


私の父の話です。
平凡な一市民として数年前に83歳でその生涯を閉じました。
せがれである私は何の取り柄もありませんが、父には取り柄がありました。

唯一と言っていい趣味が将棋で、それがめっぽう強かったのです。
私はその血を受け継ぐことなく、まったくのド素人ですのでどれほどの強さか測りかねますが、それを象徴するエピソードがあるのです。

1980年前後だと思うのですが、わが家では某新聞と同新聞社系列の週刊誌を併読していました。
まず初めに週刊誌を『サンデー毎日』に切り替えました。
これは誌上で将棋の段位が取れるという企画が始まったのが理由です。
しばらくは新聞と週刊誌は別々の会社という状態が続きました。

ある日、父が「これじゃラチがあかない」と言い出し、新聞も毎日新聞に切り替えることにしました。
ふつうは近所の販売店に行くなり、電話するなりすると思うのですが、ここが父のすごいところで、思いもよらぬ行動に出たのです。

なんと『サンデー毎日』の編集部に電話してしまったのです。
で、その時たまたま電話に出たのが編集長だったらしいのですね。
向こうもあっけにとられただろうけど、自分んとこの新聞をとってくれるっていう人間を邪険にするわけにもいかず親切に取りはからってくれたそうです。

この件が理由かどうかはわかりませんが、後日編集部からとんでもない連絡が来たのです。
「大山名人と対局しませんか?」と。
将棋なんか知らない子どもだって大山康晴さんの名前くらい知ってましたよ。
それくらい世間的にも有名なんだから、アマチュアの将棋指しにとっては神様のような存在であるだろうことは私にも想像できました。

対局当日は家族総出で千駄ヶ谷の将棋会館に応援に行きました。
しかし、当然といえば当然ですが、中に入れるのは対局する人間だけで、家族は入れてもらえず外で待機していました。

まだ世間知らずだった私は父が名人に“挑戦する”みたいなテンションだったのですが、今にして思えば、あれは新聞社が用意してくれた“思い出づくり”的なものだったのですね。
飛車落ちだろうが角落ちだろうが素人が名人に勝てるわけありませんから。

でもいいんです。
一般人がこんな経験ふつうは出来ないんですから。
名人と対局できて父も本望だっただろうし、息子の私も一世一代の晴れ舞台を用意してくれた毎日新聞社さんには感謝しています。
40年も経ってからナンですけど、あらためて感謝の意を表します。

この模様は「本誌読者が名人に挑戦!」みたいな企画で『サンデー毎日』誌上に掲載されました。
掲載号をたくさん買って知り合いに配ったことは言うまでもありません。
ちなみに父の最終的な棋力はアマ3段でした。

今回は将棋の話に終始してしまい、サインの話をせず申し訳ありませんでした。
西原さんの本の“毎日”に反応して、昔の記憶が甦ってしまったもので。
posted by 七庫屋店主 at 23:48| Comment(0) | 将棋